第10章 たまにはいいじゃん。
「宿題終わったらどっか行く?」
「んや、終われないかもしれないこの量…」
そんなに多かったかな?
「駆。本当にやっとかないと終わらないよ?」
「んー…」
「もうっ!ほらかばん!」
伊織が僕のかばんを開けて、一応入れてあった宿題を取り出す。
ここで1言。
「…え」
まんまるな目。
びっくりしてる。
「お、終わってるの?!?!」
「うん」
いつもしてないのに!とか言われそう。
「いつもしてないのに!!何で?!」
ほら言われた。
「だって。デートなのに宿題の事考えるの嫌だから、昨日のうちに終わらせた」
「か、駆様…」
「はーい?なんだね伊織よ」
「見せてくださいませ…」
「ふははは。良かろう、我が下僕よ」
「ははー!!!」
デートが楽しみですごく集中してたからかな。
そんなに多かったんだ宿題。
伊織に宿題を終えたノートを渡して再びゴロゴロ。
…僕コロコロ(粘着ローラー)になったら凄く役立ちそう。
隣を見ると再び机に向かう伊織の姿。
写すだけだからそんなにかからないかな。
「終わりそう?」
「うん!ありがとう駆!」
お礼なんていいのに。
いつも僕が写させてもらう側だしね。