第10章 たまにはいいじゃん。
駆side
僕は今、伊織の家にきています。
なぜか。宿題を持って。
最初は普通に遊ぶ約束をしてたんだ。
なのに昨日急に『宿題たくさんでたからそれ片付けよう』って…。
僕と伊織は違うクラスだけど、学年共通の宿題が出された。だから僕にもその宿題があるわけで。
「はぁ」
せっかくのデートなのに。
今現在、可愛い可愛い僕の彼女は机に向かってます。
真面目ですよ。えぇ本当に。
こんなに近くに彼氏さんがいるのに。
僕になんか見向きもしてないですよ。空気空気。
「ねぇ伊織」
「ん?」
ほら。
机に視線を向けたまま。
「ひま」
「じゃあ寝っ転がってないで宿題しなよ」
「んぇー??」
見てないと思ってたけど見られてたみたい。
僕は今床でゴロゴロしてます。
ちょっと嬉しい。←