第9章 君だけ
あの子、可愛かったな…。
澪ちゃんと同い年だよねきっと。
澪ちゃんが何て返事をするのかが怖くて、その場から逃げ出してしまった。
付き合ってるとは言っても、澪ちゃんに私以外の好きな人ができたら別れると思うし…。
別れる…と、思うし…。
今までずっと澪ちゃんが側にいた。
「好きだよ」って、私に言ってくれた。
その言葉が、私以外に向けられるんだろうか。
…。
「……っ…!」
気づけば私の目からは涙が流れていた。
今まで別れるとか、そんなに考えたことがなかったから、いざ考えなくてはいけなくなると苦しい。怖い。
帰り道、トボトボと進めていた足を止め、その場にうずくまった。
「っ…みお、ちゃぁ…ん…ぐすっ…」
「ん?」
「っ?!澪ちゃん?!」
「何ですか…って、え?!何で泣いてるの?!」
何で…澪ちゃん帰り道こっちじゃないのに。
そう思っていると、察したのか、澪ちゃんが口を開く。
「先輩が門出て行くのが見えたからさ、ついて来ちゃった♪」
へへっ。と、肩をすくめて笑う澪ちゃん。
私とは裏腹に、いつも通りの澪ちゃんの姿にまた涙が溢れる。
「えぇ?!何で泣くの先パーイ!w」