第8章 新婚夫婦
「はーい、終わったよ〜」
「ありがとうございましたー」
俺も風呂入ってくる。と言って立ち上がる。
だけど、伊織はその場から動こうとしなかった。
「? 寝てもいいよ?」
「んーん、お兄ちゃん待ってる。今度は私が髪の毛乾かしてあげるー!」
ドライヤーをカタカタと振り、ニッコリと笑う伊織。
マジカ。
これはもう。乾かしてもらうしかないな。←
髪を洗いながら、体を洗いながら。
俺は楽しみで楽しみでソワソワしていた。
「ふー…。伊織〜上がったよ〜。ごめん遅くなった」
「全然ヘーキだよ」
さっきの俺みたいに、"ここに座って"と合図をする。
そこに座ると、すぐにドライヤーの音が耳をふさいだ。
若干目を閉じて、伊織が俺の髪の毛に触れるのを感じる。
髪の毛を誰かに乾かしてもらうなんて、いつ以来だろう。
しばらく心地いい指の感触とドライヤーの風に身を預けようとした。
が。
「…伊織さん。」
「?」
「あついあついあついあついっ!!!」
髪が焦げる!!!!
なんでも、早く乾かそうとしてドライヤーの温度を高くしていたらしい。
なんなんだもう!!!
可愛いかよ!!!!!←
「はーい!終った〜!」
「うーい。ありがと〜」
ドライヤーを片付けると、伊織はすでに眠そうだった。