第1章 休日勤務の告白
それはあたたかな春の午後の出来事だった。
「ね、ジャーファルさん」
「はい」
「好きです」
「…………、……………」
「返事はいいです。わかっているので」
「、あの、」
「伝えたかっただけなんです。別にどうこうしようとかいうつもりはなくて」
「あのね、」
「忘れてくださってかまいません」
「ちょっと」
「これからもこれまでと同じようによろしくお願いします。」
「人の話を聞きなさい!」
ばん、と掌が机を叩く。
インク壺が危なっかしく揺れた。
ジャーファルは驚いて目を丸くしているエルをねめつけながら席を立って一直線に彼女の元へ歩み寄る。
「あのねぇ。」
エルの真正面に立つ。
「返事はわかってるですって?」
エルの机に手をついて顔をぐっと近づけ、
「よく言いますよ。なんにもわかってないくせに」
そのままエルの唇に喰らいついた。