第1章 月からの招待状
それはそれは……大きく綺麗な満月の夜。雲1つない空は、月の存在感を際立たせていた。
そんな月を眺めながら、お酒を口にする新撰組一番組と三番組の組長二人。
少し離れた場所では、他の組長たち(三馬鹿)が騒いでいる有り様。
更に、珍しく鬼の副長や総長らも居合わせていた。
『綺麗なお月様だね。折角、こんなに綺麗なんだから静かにお酒を飲めばいいのに……。一くんも、そう思わない?』
『そうだな……。』
チラリと賑やかな方に視線を向けた二人だったが、小さく息を吐いて肩を窄めた。
『勿体ないなぁ。こんなに月がキレイ……えっ!?は、一くんっ、か、体が光ってるよ!!』
『そ、そういう総司こそっ!!』
そして他の隊士たちに視線を向けようとした二人だったが、次の瞬間、目を開けていられない程の光に包まれた。
まさかこの時、新撰組の隊士たちがこの世界から消え去ろうとは誰も想像することは出来なかった。
そして…………新撰組屯所には、先程までの賑やかさは音もなく消え失せることとなる。
そう…………隊の誰かの口約束が理由とは、当の本人ですら考えもしなかっただろう。
ここで起こった出来事は、闇夜に一際輝く丸い月だけが知っていたのだった。