第8章 10年?ぶり
今日、私が行かなかった部活が1つあった。
元気な声、シューズの擦れる音、今までずっと聞いてきた音……
音が耳に入るだけでこんな気持ちになるのか。
『バレー部』
私はこの部活を忘れていたのか…いや違う、忘れられるわけがないのだ…
だってこんなに
好き
なのだから。
ここには確かあいつもいるんだ。
あの声の中へ、音の中へ、あの暑さの中に行きたい。バレーがしたい。
でも、この願いは叶わない。
私には
『バレーをする資格はない』
から。
この気持ちを僅かな理性で落ち着かせるため、私はしばらくその場に座り込んだ。
そうすれば落ち着けると思ったから。