第4章 水仙姫《1》
「それで?今日は何があったんだい?」
「?」
蒸しタオルで身体を拭きながら、エルヴィンは私を流し見る。
すでに全身を拭いてもらった後の私はベッドの上でうとうとと船を漕いでいた。
「エルミが私の所に来るときは大抵何かあったときだろう?」
ウインクと共に笑顔を寄越すエルヴィンにひとつ汗が流れる。
(バレてるーっ!)
慌てて愛想笑いを浮かべてもすでに遅く、エルヴィンの瞳には確信が宿っていた。
どう誤魔化そう…いや、下手に隠すよりむしろ協力してもらった方が良いんじゃない?
そうだ。そうだよ!
確かエルヴィンはアイツの直属の上司じゃない!
ふんじばってもらって上に跨がっちゃえばこっちのもんじゃない?
一瞬で計算し終えて、噛み砕いて説明する。
話を聞いたエルヴィンは人の悪い笑みを浮かべて呟いた。
「そんなことでエルミが喜んでくれるなら安いものだよ。それに彼にももう少し楽しい事を覚えてもらいたいしね…」
その言葉に背筋が冷えた───
つづく