ごめんね、素直じゃなくて【アイナナ】R18*完結*
第6章 好きだからキライ
「着いたぜ」
「此処は……」
「懐かしいな」
「うん……」
楽とよく来た海だ。
「どうぞ」
「っ……ありがとう」
助手席のドアを開けて降りるように促してくれる。
こういうとこは本当にスマートにやってくれるし、似合うんだよね。
(いかん、いかん。好感度を上げちゃダメ)
「風が気持ちいいね」
「だな」
打ち寄せる波を見ていると楽との思い出が甦ってくる。
初めて好きって言ったこと
初めてキスしたこと
「近くまで行くか?」
「うん」
砂山を降りようとすると楽が手を差し出してきた。
握ってもいいのかな?
戸惑っていると大きな手が私の手を包み、引っ張っていく。
手……熱くて汗かきそう……
わけのわからない事を考えていないと、聞きたくなってしまう。
ねぇ、楽
どうして私を裏切ったの?
心の中の小さな刺が動きだして苦しい。
辛くなるから一所懸命に楽を嫌いになろうと努力したんだから。
お願いだから楽を嫌いでいさせてよ
まだ楽が好きだなんて思い出させないで