第2章 プロローグ
「眠い」
「着くまで起きててくださいよ、死にますから」
ハンドルを握りながら欠伸をするアキを、が叱咤する。助手席の部下を睨んで、わざとらしいため息をついた。
「ったく、何であんなヤツ俺達が探さなきゃなんねえんだよ…」
あの後男を警察まで引っ張って行って、今は本部へ帰る車の中。今現在、この国の治安は悪くなる一方で、警察は人手不足。事件は増えるばかりで、うちみたいな組織に頼る人が増えている。
民間組織だから、お金さえ貰って依頼を受けた以上は、最大限解決させなければならない。
「うちも絶賛人手不足ですから。幹部と言えども、どんな任務にもついていただきます」
「つーか、マジで人増やさないと過労で死ぬ」
「まあ、確かに人欲しいですよね…」
採用試験とか、しないのかな…。
組織本部の地下駐車場へ車を置き、エレベーターで上がる。今は早朝というには早すぎるくらいの時間だけれど、組織には時間なんて関係ない。常に何かしらの任務のために人間が動き回っている。
向かうのは、最上階。所長室だ。