• テキストサイズ

My World Is Yours

第2章 プロローグ




「もう少し、こうしてよーよ」



男はもう先に行ってしまったのに…。
それとも、まだ何か気付けていないことがあるの?

見るともなしに、チャラい感じの演技を続けるアキの顔を見る。言葉とは裏腹に、顔は不機嫌なまま。器用だ…。

我が上司ながら、本当に綺麗な顔をしている。少しクセのある茶髪に、切れ長の眼。口が悪くなければ、最高なんだけど…。



「アキ…もういいでしょ?」


「じゃあ…キスしたら離してあげる」


「は?」



いけない、つい素になってしまった。
何をふざけたこと言ってるんだろう?
と思ってるうちに、本当にアキの顔が下りてくる。



「ちょっ…!」




「…いって!!」



反射的に、その顔に思いっきり平手打ち。
暗い住宅街にパシンという音が響く。


ほんとに痛かったのか、涙目になってるのを見ると、罪悪感がちょっとだけ湧いた。



「おまえはぁ…」


「そ、そんなことより仕事ですよ!」



本気で怒りだしそうなアキを慌てて制して、男が進んでいった方へ目をやる。
そこには、ただ静寂に包まれた通りがある、だけだった―――
/ 18ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp