第3章 次の任務へ
うっかりしてた。
この人といると、目立つんだった。
「アキさん…」
「何だ」
「その顔、どうにかしてくださいよ」
「ハァ!?」
つい漏れ出た失礼な本音に、アキが不機嫌な声を出す。アキに連れてきてもらって、早朝からやっているカフェに来たのはいいのだけれど。
オフィス街が近いここは、早朝のモーニングを楽しみたい女性客が多い。並ぶほどではなかったけれど、テラス席しか空いていなかった。
ただでさえ、アキの顔は目立つ。白い制服を着た二人組というだけで目立つのに、今のアキはメガネをかけて新聞を広げてる。
その絵になる姿に、カフェにいる客だけでなく、テラス席が目に入った通行人の目まで釘づけにしてる。本人は、まったく気にしてない。
「目立ってます、アキさんの顔。落ち着きません」
「お前の顔が目立つことねえもんな」
グサ。
そりゃ、私は平凡な顔ですよ。
あんたの顔が非凡なだけだ!
「気にすんな、別に悪いことしてるわけじゃねえだろ」
「まあ…そうですけど」
「お待たせしました、モーニングセットです」
わ、美味しそう。
ワンプレートに、オムレツやらバケットやらが乗っていてとても可愛らしい。
大分前、ここのことを任務中の世間話でアキに話した。自分でもアキに話したことを忘れてたのに、覚えててくれたことが嬉しい。