第5章 花蟷螂 ※一応R指定
「叫什么・・・あぁあああっッ!!!」
一瞬激しく光ったと思うと、花蟷螂の悲鳴が響き、
沈黙。
何の音もしなくなった。
慎重に体を起こし、
とりあえずベッドから下りようと足を向ける。
紗の向こうに、さっきの白い男がいるのが見えた。
びくりと体を硬直させると、こちらの様子に気が付いた男は近づいてくる。
「大丈夫?」
意外にも日本語で問いかけられ、曖昧な返事をする。
「ごめんね、急いで助けに来たんだけど、危機一髪な感じ?」
「あぁ!手、こんなん縛られちゃってかわいそうに!・・・痛い?」
そう言いながら後ろへ回り、ほどいてくれる。
どうしてだろう、一瞬鬼灯様かと思った。
さらさらの黒髪には角は生えてないし、全体的に白いし、
なにより目の前の男は眉間に皺が寄っていない。
私の疑問符を別の事と捉えた彼は、私の前に向き直り、自己
紹介を始めた。
「初次见面。僕の名前は白澤。えっと、日本でいう神様みたいな存在だよ。
君を助けに来たんだ。槐ちゃん、だよね?」
「ありがとうございます。でも、何で私の事を・・・?」
「あいつから連絡がきたんだ。えぇっと、ほらここに来る前に君と一緒にいた鬼野郎。あいつの足が遅くて間に合わないから代わりに助けてぇ~って、お願いされたんだよ」
なんだか微妙に鬼灯様への悪意が見え隠れする。