第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2
❦和也Side❦
健さんと太輔が外の世界へと飛び立ち
雅紀さんと慧が二人の未来へと向かい歩き始める
僕の大好きな人達が
それぞれ幸せを掴み
それぞれの愛を育んで行くのですね
「いつまでもメソメソすんなって」
「、っく… だってっ…」
「しょーがねぇな。 ほら、おいで」
そして僕も
優しく背中を擦ってくれるこの愛しい人と
これからもずっと
永遠に共に生きていくのだろう
「和也、もー、泣きすぎ!
慧より泣いてどーすんの!」
健さんが僕の髪を撫でる
「素直に泣けるのはいいことだよ」
智さんが僕に微笑んでくれる
温かい
何もかもが ――――
「懐かしいな」
笑って、泣いて、沢山お喋りをして
施設で夕食を御馳走になり、楽しいひとときを過ごした
そして今、僕達は
今は遊戯室になっているというダンスホールで
二人並んで月を眺めている
「翔さん、」
「んー?」
「月が綺麗ですね…」
「あぁ、綺麗だな…」
「三条院さんが詠まれた歌の通りでした」
「三条院さん?」
「心ならずとも、生きながらえていたならば…
この夜更けの月が恋しく思い出されるだろう」
「あぁ…」
「この歌の意味がようやっと分かった気がします…」