第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2
❦雅紀Side❦
「僕もですか? 健さん、」
「当たり前でしょ、慧」
慧は何がなんだか分からないと言った様子だ
「雅紀さん…」
不安気に揺れる瞳に一つ頷いて
フーッ…と小さく深呼吸をした
「俺と慧の事は皆、知ってると思うんだけど…
経営者って立場上もあって、色々あやふやにしてて…慧には申し訳ないと思ってる」
「そんな事…」
「健と太輔が此処を卒業する事になって、俺、色々考えたんだ
やっぱりこのままじゃ良くない、って」
「雅紀さん、僕は…!」
大丈夫
ちゃんとするから
最後まで聞いて
「慧」
「はい…」
皆の注目を浴びながら
慧の方に向き合い、両肩にそっと手を置いた
心臓がバクバクいってる
喉もカラカラだ
頭の中は真っ白
あんなに何度もシュミレーションしたのに全部飛んじゃったよ…
だけどここでやらなきゃ
男を見せなきゃ…!
視界に入った健の口元が
声には出さずに“がんばれ”と動いた
だから ――――
「慧。 俺の家族になって欲しい。
養子縁組…しよう…?
あっ、コレ、一応プロポーズのつもりなんだけど…」
「え……?」
「必ず幸せにするから」
慧の綺麗な瞳から大粒の涙が一つ、溢れて
そして俺の胸に飛び込んだ
ねぇ、慧。
それは喜びの涙なんだよね…?
Yesと受け取って良いんだよね…?