第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2
ぐるりとテーブルを囲んでのおやつタイムはまるで大家族のよう
「おーいしい〜!」
頬に手を添えた子供達の顔が見る見る綻んでいく
「あー! それ僕の!」
「僕もそれがいいの!」
「ほら、喧嘩しない!」
微笑ましい光景に僕達も自然と笑みが溢れていた
「ね? 皆喜んだでしょ?」
「はい、」
僕は何を恐れていたんだろうか
潤さんの言う通りだ
何も不安になることなんて無かった
「ちょっといいかな」
雅紀さんの言葉に皆が手を止める
「実は今日、皆に報告したい事があって
智達にも来てもらったんだ。
健。太輔、」
「「はい」」
並んで座っていた二人が起立する
「健と太輔が…近々この施設を出る事なった」
「えっ…」
「ここから下って行った所の先に喫茶店があるんだけどね、そこで住み込みで働く事になったんだ」
「喫茶店てもしかして、強面のオーナーの?」
「櫻井さんはご存知でしたか。
そのオーナーが先日倒れられて、たまたま健と太輔がその現場の前を通りかかったんです」
そこからどうして住み込みで働くまでに話が進んだのかを、雅紀さんは丁寧に説明してくれた
あの健ちゃんと太輔が…
なんだかとても感慨深い
「やだなぁ、しんみりしないでよ!
遠くないんだからいつでも会えるでしょ!
じゃあ、次!」
「まだあるのですか?」
「ある、ある! メインはこっちだよ!
はい、二人共立って?」
健ちゃんが太輔を座らせて
その代わりに雅紀さんと慧の肩に手を置いた