第9章 ❦ SPECIAL THANKS ❦ Vol.2
二人で向き合って朝食を食べる
だいぶ覚えてはきたけれど、慣れない食べ物の名前に最初は苦戦した
パンだけでも沢山の種類があって…
物の名前を知らない僕に、翔さんは一つ一つ丁寧に教えて下さった
「このクロワッサン、美味いな」
ローストアーモンドのクロワッサンは香ばしさの中に甘みもあって
「スクランブルエッグも、ベーコンも美味い!」
作り方は潤さんが教えてくれた
パンと、ベーコンやハム、卵、サラダ
それから、珈琲
これしか作れないから朝食はいつも同じ食材
本当は翔さんに、もっと美味しいものを作って差し上げたいのに…
「…和也? どうした?」
「毎日代わり映えの無い朝食で申し訳なくて…」
「そんな事気にしてたのか?
いいんだよ。俺は、和也が作ってくれたものならなんでも嬉しいんだからさ」
僕を気遣って仰ってくださった事と思うのにやっぱり嬉しくて
僕は幸せ者ですね、翔さん…
「ほら、早く食べちゃいな?
食べないと大きくなれないからな?」
一足先に食事を終えられた翔さんが
お皿を下げながら意地悪を言う
「成長期はとうに過ぎてますっ…!」
プーッと膨れると
『ごめん、ごめん』と微笑うから
僕はムキになってクロワッサンにかぶりついた