第8章 ❦ SPECIAL THANKS ❦
❦ 潤Side ❦
「ただいま… って、またかよ…」
翔のマンションで一緒に暮らし始めて、3ヶ月。
ジムの仕事を終えて深夜に帰宅しても家に翔の姿が無い
最近、そんな日が増えている
サラリーマンなのになんでこうも毎日毎日午前様なんだよ
商社の仕事ってそんなに忙しいのか…?
料理の出来ない翔の為に
出勤前に仕込んでいた夕飯は温めれば食べられるようにしてあるのに
「また明日の弁当にしてやればいっか…」
腹は減ってるけど、それを一人じゃ食べる気にはなれなくて
「飲むか、」
ワインに手を伸ばす
チーズあったよな…それから、生ハムも。
簡単なつまみを作って一人、晩酌を始めた
“お疲れ様。
今帰ってきたとこだけど、翔は今日も遅くなる?”
メッセージを送ってみても一向に既読にはならなくて
虚しさだけが込み上げてくる
…好きなのはやっぱり俺の方だけなのかな、
翔は…もしかしたら俺の事、そんなに好きじゃないのかもしれない。
信じたいのに
一度湧き上がった不安はみるみる内に増殖してどす黒い塊になって行く
だけど
“今、どこにいる?”
“なにしてる?”
“誰と居る…?”
そんなの
聞けるわけ、無い。