第7章 Eternal Burgundy
❦ 翔Side ❦
潤のこんな姿を見たのは初めてだった
俺の知ってる潤はいつだって俺様で
男っぽくて
潤が俺の事を恋愛対象として見ていた事は想定外だった
そんな素振りは一ミリ足りとも見せた事がなかったから
潤はどんな想いで
親友として俺の側に居てくれたんだろう…
潤のした事は決して許される事じゃない
許す事なんて出来ない
だけど
暗闇の中で踠いていたのは
俺じゃなくてコイツの方だったんじゃないかって
「…傷付けて…
酷い事して…悪かった…
許してくれなんて言わない…
今度こそ永遠にお前の前に現れないから…」
そう言って
潤は声を殺して泣いた
「そんな事望んでない」
「…」
「あんな事があっても俺はお前を嫌いにはなれなかったよ
それに…」
『翔、いい加減次の約束を取り付けて来ないか』
『だから…そんな気無いって何度言ったらわかるんだよ…』
ウンザリだった
見合いとか、結婚とか…
『あれほど条件の良い娘さんは他に居ないだろう?
何が不満なんだ』
全部不満だよ
俺の気持ちなんてまるっきり無視じゃんか…
『…他に好い人が居るとでも言うのか』
『…っ、』
“好い人”
そう言われて頭に浮かんだのは
お前だったんだよ、潤
こんなにも長い間
俺は気付けていなかったんだ