第7章 Eternal Burgundy
『丁度良かった…
お坊ちゃんの子守りもそろそろ飽きたなって思ってたんですよ』
精一杯、強がって
『お望み通り消えてやるよ、翔の前から ―――― 』
俺は次の日から大学に行かなくなり
携帯も変えた
ホストのバイトも飛んで
それまで俺を取り巻いていた全てのモノを捨てた
翔が家に訪ねてきても無視を決め込んだ
出掛けるのは深夜のコンビニくらいだ
後はずっと…一日中家に篭って酒に溺れていた
そして三日目の深夜
タバコを買いに行こうと玄関のドアを開けた瞬間
外側から強い力でドアを引かれて
誰かが体当たりをして俺をなぎ倒し、中に侵入ってきた
『痛ってぇな! 何す…!』
『…潤』
『…っ、』
そこにあったのは
悲痛なまでに顔を歪めた翔の姿で
心なしかやつれているようにも見えた
『なんで…なんでいきなり俺の事無視すんだよ…
学校には来ねぇし携帯も変えてるし…!
何度訪ねてきたって居留守じゃねぇか…!』
『俺が何しようが勝手だろ?
お前にゃ関係ねぇよ。
…帰れよ』
『…帰らない。』
『帰れ』
『帰らない!
なぁ、俺お前になんかしたか…?』
『…別に何も、』
『じゃあなんで…!』
『…飽きた』
『は…?』
『飽きたんだよ、お前と居るの』
それだけ言うと
翔を玄関に置き去りにしたまま立ち上がって
酔って覚束ない足取りでフラフラとリビングへ戻った