第6章 ブラコンですが、何か?
「合格祝い、」
「へっ…?」
「用意してやれなかったからさ、今度何か…」
「しょーくん。
合格祝いなら、今貰ってるよ?」
「え…?」
「今こうしてる事が…僕にとって何よりも嬉しい合格祝いだよ」
「雅紀…」
「しょーくんも…卒業おめでとう。
僕からの卒業祝いは僕自身でいいでしょ?」
「え」
「え?」
何その、あからさまな『しまった!』って表情は!
「僕が合格祝いじゃ不満?」
「や、違っ…!」
なんだろう
しょーくんの様子がおかしい
「こんな状況で、言う事じゃないかもしんないけどさ…」
「うん…?」
「留年しちゃった、てへぺろ♡」
「はぁっ?!」
『母さん達には土下座して謝るから』
とか言いながら
反省してるのかしていないのか
しょーくんは本当に嬉しそうに
優しい瞳で僕を見つめて
そして
包み込むように抱いてくれた
ハジメテは痛くて苦しかったけど
それよりも大好きな人と一つになれたことの喜びの方が何倍も大きかった
そして僕は
髪を撫でられながら
しょーくんの腕に抱かれながら
可笑しな夢を見たんだ
金髪リーゼントのしょーくんと
茶色く髪を染めた僕が
駅までの道を一緒に登校する夢を