第6章 ブラコンですが、何か?
「盛り上がってるね? なんの話?」
「雅紀に好きな人がいるのか? って話!
ねっ、翔君!」
「えっ?! あ、うん、そう…」
コーラをテーブルに置く雅紀の手が
ピタリと止まった
「いや、俊介が “雅紀が最近モテてる” みたいなこと言うからさぁ
兄貴としては気になるなぁ…なんて、」
「居るよ」
「えっ?!」
「居るよ、好きな人」
「へーぇ… そう、なんだ…
ははっ、そりゃそうだよな、ははははっ…」
何動揺してんだ、俺…
雅紀はもう中1だぞ?
恋の一つや二つしてたっておかしくないだろ?
その後の会話はなんだか右から左で
内容なんて全く耳に入って来なかった
雅紀には好きな人がいる。
ただそれだけの事なのに
心がソワソワして落ち着かない
相手はどんな子だ?
その子は雅紀の事どー思ってんだ?
まさか付き合ってんのか?
接吻とかしちゃってねぇだろーな…?
考えれば考えるほど気が気じゃなくなって
変な妄想までしちゃって
『好きだよ、花子ちゃん』
『私もよ、雅紀くん』
チュッ
「だぁぁーーーーぁっ!!!」
花子!!
テメェ、ぶっ殺す!!