第5章 俺様天使!
「逢いたかったよ、ニノ…」
「ふふっ。よく言えました」
「ニノは…?」
「俺も… J に、逢いたかった」
空白の1ヶ月間を埋めるように
俺たちは何度もキスをした
たった3日間
それでも
共に同じ時間と空間を過ごせるという事が本当に嬉しかったんだ
「天使と悪魔が恋に堕ちるなんて、前代未聞かな?」
「前例があるでしょ?」
ニノの視線の先には
リーダーとショウさんの絵
「ショウさん、俺に袖の下渡してきたよ?」
「俺も。口止め料貰った」
それだけオオゴトなんだよね
わかってる
でも、もう止められないんだ
許されないとわかっていても
この想いは誰にも止められない
「アレ、」
「えっ…?」
「アレのせいにしたらいいよ」
ニノがテーブルの上のクランベリーにそっと手を伸ばす
「今日から3日間、俺がお前を幸せにしてやるよ」
「臨むところですよ」
一粒口に咥えると
ゆっくりとそれを口移した
スエズの泉の畔に生る、真っ赤な果実
それは
天使と悪魔が恋をする
甘くて酸っぱい…禁断の果実
❦『俺様天使!』〜 完 〜❦