第4章 溺れる夜は…Monday
雅紀のキスは優しくて
キスの後におどけたりもしなくて
どうしよう
やっぱりいつもと違う
こんな雰囲気初めてで戸惑った
『智はどう思ってるの…?』
『どうって…』
『俺と…越えたいって思う…?』
越 え た い ?
何を?
雅紀は何を言ってるの?
『俺と、シたいって思ってる…?』
この時初めて
雅紀がセックスのことを言ってるんだって分かった
俺だって健全な男子高校生だし
エッチな事で頭が一杯になったりもするけど
その対象は女の子であって
男じゃない
だから俺は
雅紀のことは好きだけど
ただ、ずっと一緒に仲良くいれたらイイって
そう思って…
『智が嫌な事はしないよ』
嫌じゃない
そうじゃないんだ
『俺、男だよ…?』
『分かってるよ
男の智を好きになったんだから』
俺だって
俺だってそうだけど…
『ごめん、やっぱりこの話やめよう?』
待って
『今まで通りでいいから、』
『雅紀!』
突然大きな声を出したから
雅紀がビクッとした
『雅紀がそうしたいなら…いいよ』
着ていたパーカーの裾をギュッと握って
雅紀の目を見て言った
雅紀の心が
俺から離れていくのが怖かったから