第2章 バーチャルな君と僕
約束は今日
サトシ君のバイトが終わったら
「伝えたいことって、なんだろ」
サトシ君が言った最後の言葉
それを考えながら歩いてたら、待ち合わせの時間より早めに公園に着いた
「7時、か…
後1時間あるけど…遅れるよりいいよね」
ベンチまで歩いて
隣に1人分のスペースを空けて座る
まだかな…まだかな…
スマホで、時間を何度も確認しながらそわそわそわそわ…
そんなことしてたら薄暗かった辺りはすっかり真っ暗になって
ベンチに座る僕を、外灯が優しく照らすようになった
「後、15分…」
そう明るいスマホ画面を見ていると、遠くでサトシ君の声がしたような…
「…サトシ君?」
思わずベンチから立ち上がって、公園をぐるりと見回す
けど、姿は見えない
「空耳か…」
ため息を吐いてもう1度ベンチに座り直そうとしたその時、さっきは何もなかった公園の入口で黒い何かが動いた
「カズナリ君!」
「あ…」
それは間違いなくサトシ君
「サトシく……あ、あれ?」
サトシ君なんだけど…
でも、僕に向かって一直線に走ってくる姿は
前に会った時のサトシ君じゃなかった