第2章 バーチャルな君と僕
「智くんはさ、彼女とか居ないの?」
「へっ?!
いっ、居ないよ!」
「そうなんだ
でもモテるでしょう?」
「そんなわけないでしょっ…!
翔くんとか…潤みたいにカッコよくないし…」
何を言い出すんだ、翔くんは!!
これは尋問か?!
尋問なのか?!
「ちょっと眼鏡取ってみて?」
「眼鏡?」
「それ、伊達眼鏡でしょ?」
「…うん、そうだけど…」
なんだ?
何なんだ??
翔くんの意図もわからずに
言われるがままに眼鏡を外した
「…やっぱり。
眼鏡外してた方がいいよ
なんて言うか…可愛いよね、智くんて」
「かっ、可愛い?!」
何を言い出すんだ?!
動揺して
今僕は、きっと耳まで真っ赤だ
「同い年の、しかも男の人に『可愛い』だなんて失礼かな?
でも、もし僕が女の子だったら…
きっと智くんのこと好きになってる」
「…へ……???」
思考が停止した
頭の中が真っ白だ
翔くんはこんなことを言う為にわざわざ僕のバイトが終わるのを待っていたのか?
「冗談がキツイよ、翔くん…」
「冗談でもないんだけどな」
「?!」
「やだなぁ、そんな顔しないで?
たださ、智くんは自分の魅力に気付いてないんだと思うんだよね
だから勿体無いなぁって」
「勿体無い…?」
「うん
もっと自信持っていいと思うよ?
潤とはまた違った魅力が
智くんにはあるんだからさ」
翔くんがどうして僕にこんなことを言ったのか
その真意はどこにあるのか
結局わからないまま
小一時間ほどお茶をして
僕たちは別れた
チャリを飛ばして家に帰ると
いの一番にパソコンを立ち上げ、動画投稿サイトを開いてみたけど
カズちゃんからメールは来ていなかった