第2章 バーチャルな君と僕
「…はい?」
「あの…あの…」
「?」
「一緒に来た人って…お友達ですか?」
「一緒に…あぁ、潤のこと?」
……潤…
サトシ君…じゃなくて?
「…あ、すみません
昔の知り合いかな…って思って…
違いました、ごめんなさい」
「…いえ」
微笑むお兄さんに頭を下げて
自分の部屋まで早歩きで向かった
…あの人は"潤"
サトシ君じゃなくて…潤
顔は…サトシ君だけど
潤って人なんだ
ということは……
あぁなるほど…そういうことね
「かず、ごめん!俺が入れた曲掛かっちゃった!俺の分のお茶もおねがーい!」
扉を開けると同時にまさ君に言われて
はいはいってグラスを受け取る
扉を閉めると、部屋に戻る途中だったらしいさっきのお兄さんがこっちを見てて
僕はまたその人に頭をぺこっと下げてドリンクバーに向かった
分かった、分かっちゃったよサトシ君
あの写真の人は"潤"
それで受付の眼鏡のお兄さんは智くん
…僕とメールしてる…サトシ君なんだね
そして潤って人とサトシ君は…兄弟
だって兄貴って言ってたもんね
だから…だからか…
弟の写真を使ったんだね
自分って言って…僕に送って、メールしてたんだね
本当…ネットって…分からないね…
「っはぁー楽しかったー」
「うん…」
「かず?」
「…ん?」
「なんかさ、途中から全然元気ないけど…どうしたの?」
「そんな…」
そんなことないよ
って…言おうとしたけど
なんかもういっぱいいっぱい…
嘘つかれたってことがショックで…
悲しくて…
僕はサトシ君とのことをまさ君に全部話した