第2章 バーチャルな君と僕
それから
動画をアップしない日も
メールのやり取りは続いた
タイミングが合わなくて
リアルタイムでやり取りしたのはあの日一日限りだったけど…
でもそれがかえって良かったのかもしれない
僕はあれからずっと
自責の念にかられ続けていたから
あんまり頻繁にやり取りしていたら
ホントのことを口走ってしまいそうで…
「智、受付頼むー」
「了解です!」
金曜夕方のカラオケボックスは忙しい
いつもにも増して学生のお客が増えるからだ
「いらっしゃいませー」
入ってきたのは男子高校生二人組
「二名様でいらっしゃいますか?」
「はい。フリータイムで。
あ、ドリンクバー付けてもらえますか?」
「かしこまりました
お部屋の方、ご案内お願いしまーす」
案内係の女の子の後を
二人が着いていく
ふぅ、と一息つくと
― カラン カラン ―
来客を告げるベルが鳴った
「いらっしゃいま…」
「お疲れ、兄貴!」
「うぉっ! びっくりしたぁ…」
「こんばんは、智くん」
「翔くんまで?!」
今日はプライベートで息抜きしたいからと
潤が翔くんを誘ったらしい
「来るなら来るって言ってくれればよかったのに」
「ごめんね、急に。
迷惑だったかな?」
「そ、そんなことないよ!
あ、フリータイムでいいよね?
ドリンクバーはサービスしとくから!」
「やった!」
「いいの? なんだか申し訳ないよ
ありがとう、智くん。
ほら、潤もお礼言わないと!」
「えー、俺も?!」
「いいから、いいから! 楽しんでってね!」
二人の案内を係の女の子に頼むと
僕は黙々と仕事を続けた