第2章 バーチャルな君と僕
― コンコン ―
「はい」
「潤? ちょっといいかな」
隣りの部屋で勉強をしている潤に声をかけた
「何?」
「いや、あのさ…写メ、撮らせてくんないかな」
「写メ? 俺の?」
「うん、潤の」
「なんでまた?」
「おっ…弟が居るって言ったらさ
店長が、写メ見せろって煩くてさ」
…嘘だ。
店長、ごめん
潤、ごめん…
「ふーん
別にいいけど?」
「ありがと、潤!」
オフホワイトのカーテンを背に
潤の写メを一枚撮った
兄の僕から見ても
申し分ない程のイケメン…
同じ兄弟なのに
どうしてこうも違うのか
「撮れた?」
「うん、撮れた!」
「店長さんによろしくね」
「うん! ありがとね! 勉強の邪魔してごめんね!」
― パタン ―
はぁぁぁ…
どうせ会うこともないんだし
自分の写メを送って嫌われるよりは…
そんな狡い考えの中
僕は自分の部屋に戻り
撮ったばかりの潤の写メをパソコンに保存した
『そうですよね
言うならまず自分からですよね!
分かりました、添付しておきます!』
潤の写メを添付して
メールを送信する
「…送っちゃった…」
どんなに自分を正当化しようとしても
僕のやったことは…
「最低だ、僕…」
頭を抱えて机に突っ伏した
それから数分が経った頃
カズちゃんからの返信が届いた
メールには添付画像があることを示す、クリップのマークが付いている
「マジで…?」
僕は恐る恐る、メールを開いた