第2章 バーチャルな君と僕
『メールありがとうございます!
ホントですか!
女性アーティストで、しかもかなり高音なので、ちゃんと歌えてるか不安でしたが喜んでもらえて僕も嬉しいです!
これからもリクエストじゃんじゃんしてください!です!
サト』
僕はすぐに返信をした
あんなに喜んでもらえて
僕もあの歌が好きになりましたよ、カズハさん!
カズハさん…
カズハさん…!
「カズハさ━━━━━━━んっ♡」
湧き上がる想いに思わず
ベッドにダイブして枕を抱きしめ
ゴロン、ゴロンとのた打ち回った
「兄貴!うるさ……! 何してんの」
勢い良くドアが開き
一人、枕と戯れている姿を潤に見られてしまった
「え、と… 柔道の技の練習…?」
「…」
「…」
気まずい空気が流れる
「…程々にね?」
「…うん、煩くしてごめんね?」
実兄の異様な姿に空気を察したのか
潤はそこには深く触れずに
そっとドアを閉めて去って行った
…恥ずかしいとこ見られた……
頭をポリポリと掻いて
何事もなかったかのようにベッドから立ち上がると
パソコンの画面に映し出されている、動画投稿サイトの僕のページに
新着メールが届いている事に気が付いた
カズハさん?!
もう返信読んでくれたの?!
リアルタイムで互いにサイトを開いていることに
小さな幸せを感じる
『お返事ありがとうございます!
リクエスト、また考えてみますね
サト君ならどんな歌でも歌いこなせると思います!
女性アーティストの切ないラブソングとか…
もっと聞いてみたいです
カズハ』
切ないラブソング!
ドンピシャ!!