第2章 バーチャルな君と僕
学校は僕にとって辛いところ
別に虐められてるわけじゃない
友達だっている
けど、女の子の話題を出す友達についてけなくて
賛同できなくて…
心が痛む毎日
「…はぁ…なんでなんだろう…」
僕は…なんで普通じゃないんだろ
なんで女の子が好きじゃないんだろ…
「…あー病む…」
やめよ…考えない、考えない…
気持ちを切り替える為に次の動画をって
終わってしまった動画の横に並ぶ、関連動画に目を通していると【mirrors 歌ってみた】の文字
ジャスティン・ティンバーレイク…
全然知らないけど
たまには洋楽も聴いてみるかなって
ただ、なんとなしに再生ボタンをクリックした
「え……」
途端に、流れてくる洋楽のメロディーに乗せて
聞こえてきた美声
「……うわ…ぁ…」
英語の発音も完璧で…
何
なんだこの人…
す、すごい…
…すごい……
本当にただただ感動して
瞬きも忘れて
気付いた頃には
「……え、あ…終わりか……」
動画は止まっていた
…これって本当に素人なのかな?
ってか…日本人?
「うますぎでしょ……」
呆然と、しばらく歌声の余韻に浸ってたら
いつの間にか、また動画を再生していて
何回も…
何回も、何回も
「……すごい……」
1時間もその動画を見て、聴いていた