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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第1章 かりそめの遊艶楼


私が作ってしまった世界…

この世界に
終わりなど来ないと思っていました


「皆、改めて謝らせてください
こんな処を作ってしまい…
傷付けてしまい…申し訳ありませんでした…っ」


昌宏さんがしていたよりも深く頭を落とした


「藍姫様やめてください…」


いいのです
これくらいしかできませんが…させてください


「おやめください…っ」


私はそれだけのことをしたのですから…


「もうそれくらいでいいんじゃない?」

「……潤様…」

「…確かにさ
辛かった子だって、苦しかった子だっていただろうけど
全部が全部、智のせいじゃないでしょ?」

「そうだよ、戸籍を与えなかった親だって悪いし
藍姫の提案1つでここを作った松岡さんの親だってどうなのって感じだし」

「櫻井様…」

「俺達は感謝してるよ、なぁ潤」

「うん…智に出会えて
翔くんは奏月に出会えて
みんなもここで色んな出会いあったでしょ?」


潤様のお言葉に皆は笑っていた

よく見ると抱き合う子
肩を組む子もいて…

琥珀は太輔と嬉しそうに手を繋いでいた


「ね?ここに来て辛いこともあれば
良いこともあったんだよみんな
それは外の世界でも同じだよ?

苦しいこと、悲しいこと、楽しいこと
みんな生きていく上で必ずあることなんだ」

「…潤様」

「全てを智が背負う必要なんかないんだ
間違ったことだって人間生きてれば絶対あるんだから」

「私もそう思います
藍姫様…もう降ろしてください、背負ってるものを
私達は幸せにございます」


奏月…


「そうだよ、そんなの捨てちゃってよ!
そんで…幸せになんなきゃ許さないからね!」


琥珀…


「よく頑張ったよ藍姫」

「雅紀さん…」

「小さい頃から見てるけど、本当に…
もういいんだよ」



…私は

知らない殿方に抱かれ続け
一生を終えていくんだと、そういう運命だと…


だけど希望は捨てきれなくて
浮かべた句を口ずさんでは

月を見て

また、句を詠んでは

月を見て…


「行こう?智」

「…っ…はい…」


願いを送っていたのは…
無駄ではなかったのですね…


「俺達も行くか」

「はい、翔様!」


横に並ぶ奏月に笑い掛けられ
それにぎこちなく微笑み返しながら、4人で出口まで向かった
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