The result of revenge [ディアラバ]
第4章 Feelings~感情~
「ありがとうございます」
そう言ってハンカチを返す。とんでもない事をしたのだと、改めて思い知らされる...自分でもこんなに涙が溢れて来るとは思わなかったから
「まさかこんなに泣くとは思いませんでしたよ」
ちょっと困った顔をしている
「突然すみませんでした...」
「いえ、...大丈夫ですよ。私も───」
レイジさんは話すのを途中でやめ、ハンカチをしまう
「レイジさんも、何ですか?」
「何でもありません。さぁ、料理が冷めてしまいますので、行きましょうか...」
そう言って、そそくさと部屋の外へ出て行ってしまった。私は呆然と立ち尽くす...
レイジさん今何を言おうとしたのかな...
「──早くなさい!」
少し先の方から呼ばれる
「はい!今行きます!」
急ぎ足でレイジさんの呼ぶ方へと向かった
リビングへ向かっている間は、お互い無言のままだった。私は、二三歩前を歩くレイジさんの背中をずっと見つめていた
私だけがこんな気持ちになっているかな...
レイジさんの本意はどこにあるのかな...
そんな事を考えていると、いい匂いが鼻を通り抜けた
「...あ、いい匂いがする...」
そのままリビングへ入りテーブルを見ると、そこにはとても美味しそうな料理が並んでいた
「さ、食べましょうか」
食事をとるのはいつぶりだろうか...
私がまだ人間になる前、万魔殿にいた頃は、料理をするという習慣は無かった。けれど、始祖の一族がまだ沢山いた頃に、何度か皆と食卓を囲んだ事は覚えている
「はい!...って、レイジさん?他の兄弟達の分がありませんよ?」
テーブルの上には、私とレイジさんの2人分
「あぁ、彼等と食事をとるのは、月に1度の晩餐会の時だけですよ」
そう言いながらテーブルの椅子を引き、
「さ、こちらへどうぞ」
と、私をエスコートしてくれた
軽く会釈をしてから、椅子に座る
「月に1度だけ...ですか?」
確かにヴァンパイアが毎日食事をするとは思えなかったけど、この兄弟達に限っては、もう少しそうゆう機会があっても良いんじゃないか、なんて余計な事を考えてしまった
「お父上の意向なのですよ、月に1度は全員揃って食事を、とね」
レイジさんも席へつく
「冷めないうちに食べるとしましょう」