The result of revenge [ディアラバ]
第12章 What we want to protect~守りたいもの
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兄さんに全てを明かされたオレは、何を問い詰めても『王たる私の権限だ』と言って、全く話を聞いてもらえなかった。
兄さんが立ち去った後、オレはロビーで頭を抱え込み座り込んだ...
無力な自分に腹が立って仕方ない
「クソ!なんでオレには何もできないんだよ...」
頭に浮かぶユウラの顔。
いや、兄さんだって苦しいはずだ、始祖の血が絶たれてしまうのだから...
それは紛れも無い事実なんだ。
なぁ...兄さん、どうしてオレじゃ駄目なんだよ...オレは病にもかかっていない。オレの気持ち...気が付いていたんだろう?
決して兄さんには言えない言葉が今になって頭の中に出てくる。
けど、オレだって兄さんの気持ち、気が付いていたんだからさ...だからこんな事言える訳ないよね。
「ハハッ...ハハハ...もうおかしいよホント。」
兄さんが話してくれた内容はこうだった───
最初は三人で月蝕の日に脱出し、魔力が回復するのを待ち、ある作戦でカールハインツ達ヴァンパイアの一族に恨みを果たし...その後、ユウラと婚礼の義を執り行い、始祖を繁栄させていくつもりだった。
しかしある日、カールハインツの使い魔から手紙が届けられ、そこにはこう書いてあったらしい
〝始祖の血をもつ女を渡せ〟そうすれば脱出する計画だけは見逃してやる...
納得いかなかった。
カールハインツは何を考えてんだ...
その事を聞いてからは、オレが兄さんに何を言ったのかすら覚えていない程に苛立っていた。
何でユウラを手放さなきゃならない...
兄さんが一番、始祖の繁栄を願っていたんじゃない?
なのにどうしてこうもあっさりと手放すんだ
「もう、今更遅いけどね...なにもかも。」
オレは納得いかないまま、その場から立ち去った。
部屋に戻る途中、兄さんの部屋の前で立ち止まったけど、今は言い争いになるだけだと察知した。
窓の外から見える魔界...
忌々しいカールハインツ。
「クソ!なんだって始祖のオレ達がこんな目に合わなきゃならないんだよ...」
...。
アイツ今どうしてんのかな...
オレは自分の部屋に戻らず、ユウラの部屋の方へと足が向かっていた。