The result of revenge [ディアラバ]
第10章 Lunar Eclipse~月蝕~prologue
────トントン。
「貴女!起きているのですか?」
────トントントン。
「...返事が無い様ですので開けますよ。」
...あれ...レイジさんの声...?
「ん...っ!」
私はその声にハッとして飛び起きる
「わぁ!!もしかして私、寝過ごした!?...す、すみません。今日は私からレイジさんの部屋に行かなきゃならなかったのに──!」
そう言いながら急いでベッドから降りて、身支度をし始めた私を、ドアの前で腕を組みながら呆れた顔をして眺めているのは、紛れもなくレイジさん。
「今、すぐ!すぐに支度するので、ちょっとだけ、本当に少しだけなので、待っていて下さい!!」
慌ただしく部屋の中をウロウロする
何を用意するというのか...自分でも何をしたいのか分かっていない...完全に寝ぼけている。
そして、レイジさんにじっと見つめられている事で、更に焦りが付け足されている...
きっとそんな私に気が付いているのだろう
「貴女、いい加減に落ち着いたらどうです?さっきから見ていましたが、起きた時と何も変わっていない様ですが。」
その言葉に、さすがの私も目が覚めた。
動きを止め、レイジさんの方を見ると目が合った...
「...で、ですよね。」
「はぁ...。全く、昨夜の勢いはどうしたのでしょうかね?これから魔界へ行くというのに、その様に落ち着かない様子で居られては困ります。」
「はい...」
もちろん何も言い返せない...落ち着かないのは確かだし。月蝕当日だからなのか、ソワソワした感覚はピークに達している。
私はいつもの服装に急いで着替えると、レイジさんの前に立ち『準備できました!』と、威勢よく言った
すると、レイジさんは黙ったまま、私の足元から頭に向かって視線を動かす...
「...ボタン、かけ間違えていますよ。」
「えっ?!...」
「ここです。」
そう言いながら、私が見つけるより先にボタンに手を添えて、かけ間違いを直してくれている...
レイジさんの指が私の胸元で動いている、顔も近いし、ボタンを外す時、私の肌に少しだけ触れた指の感覚がいつまでも残る...
私はされるがまま、レイジさんの存在を確認しつつも、ただこの胸の高鳴りが早く収まらないかと、必死に目線を天井の方へと向けていた。
