The result of revenge [ディアラバ]
第10章 Lunar Eclipse~月蝕~prologue
「...んん...」
いつもより、少し寝苦しい感覚に目を覚ました
何か夢を見た様な気がする...
暗闇の中で何かを必死に追い掛けていた、そんな夢だった。
ベッドに横になったまま部屋の窓の方へと顔を向けると、もう外は真っ暗だった...
「もう皆起きてるのかな...」
学校もないのに、何もする事なんて無いよね...
けれど、昨日の出来事が頭にふと浮かぶと、寝ぼけている場合でも無いと、起き上がった。
「うーん」
起き上がり腕を組む
そんな仕草に、私はレイジさんの顔が浮かんでしまって、少し笑った...
腕を組んで何かを考えるなんて、まるでレイジさんの様だったから...
これからレイジさんに話をしに行くのだから、とりあえずは、身なりを整えようと、部屋にある鏡台へと腰掛けた
鏡に映る自分をまともに見るのはいつぶりなのだろうか...
前にバスルームの鏡を見た時は、目を腫らしていたっけ。あの時はアヤト君に心配かけたんだよね...
「ふふ、アヤト君て本当に心配とかするのかな?」
そして今、目の前の鏡に映っているのは
始祖でもない。
人間でもない。
私は私であって、今は逆巻ユウラだ。
始祖だった頃の私の家族...
シン君や、カルラさん。もちろん今でも家族だと思ってる...
けれど、私が見つけたこれからの生き方を、彼等ならきっと理解してくれるだろう。
あれだけ長い間一緒に過ごして来たのだから...
いつか、シン君とカルラさんに話せる機会がもし訪れたなら、胸を張って言えるように...〝私は大丈夫〟だと───
髪の毛を整える。
湧き上がる想いに胸が苦しくなる
けど、今はその想いが、辛く苦しい事ではなく、とても愛おしい事なのだと分かる。
スバル君が教えてくれた〝恋心〟。
自分よりも相手を思う気持ち...ヴァンパイアとか、始祖とか、種族など関係ないこの想い。
もう見失いたくない。
もし、レイジさんが私に言っていた〝特別〟が、私がレイジさんに対して感じている〝特別〟とは違っても...それでも私は変わらずに想い続ける。
「よし!」
両手を力強く握る。部屋で一人、決意を固めた...