第1章 ひとつめのお話
……ていうか、私とは付き合ってる。あの人は浮気相手、浮気がばれたのなら浮気相手と別れる…っていうのが普通じゃないの??
なんで那智くんは迷っているの??
柚「…そんなに好きなら、すみれちゃんに那智くん譲ってあげるよ」
「……へ…………」
須「おお、いいのー柚子ー??」
柚「だって、好きな人には幸せになって欲しいじゃん??」
……なにそれなにそれなにそれ。
それに譲るってなに、那智くんは元から私の彼氏なのに…っ
須「じゃあ那智も、すみれちゃんとはそのまま、柚子とは縁を切るってことでいいかな。」
那「ん…ああ。」
須「じゃ、そういうことで!おつかれー!」
……とりあえず話が終わり、那智くんと2人で公園を出た。
那「すみれ、ほんとごめんね。」
「うん、大丈夫。」
前、那智くんが他の女の子と仲良さそうに話してるのを見て、心が痛くなった私に、那智くんはすみれ、どうしたの?と聞いてきた。
私は重たい女だって、嫌われたくなくて、思わず大丈夫だよって言った。でもそれに対して那智くんが、
那『女の子の大丈夫は、大丈夫じゃないってじいちゃんが言ってた。…さみしかったんでしょ?ごめんね』
って、そうやって言ってくれた。
ねえ那智くん、ほんとは全然大丈夫じゃないんだよ、今すぐぎゅって抱きしめてほしいし、たくさんの甘い言葉や、キスだってほしい。お願い、気付いてよ……ッッ
那「…大丈夫じゃないよね。……ん……」
那智くんのスマホに着信がきている。ズボンから取り出す際に見てしまったのだが、柚子、と書いてあった。
那智くんは無視して、スマホをポケットに入れた。
那智くんは、やっぱり気付いてくれた。……でも。
「……那智くん、このまま縁切るなんて、無理でしょ。」
那「や、でも…」
「…話してきなよ。待ってるから。」
那「……すみれ…………ごめん、5分で戻るから、」
走り出してしまう彼の袖を引っ張り、一度足を止めさせる。
振り向いた彼に泣きそうになりながら、
「絶対……ぜったい、もどっ、て、きて……ッッ」
那「…ん。」
彼が行ってしまったあと、私は1人また公園に戻り、ベンチで涙を流していた。