第2章 裏切り者の始まり
おばさんにもおじさんにも、挨拶を済ませたその夜。
私はカッターを手に握りしめ、ぬいぐるみにむかって大きく手を振り下ろす。
ぬいぐるみは、ばさっと切れて中の綿を無様に放出した。
その綿を手にとりフワフワと撫でる。
「あぁっ!快感っ…!」
綿は気持ちの良い感感触、もふもふの可愛い見た目、文句なしの癒しアイテムだ。
こんなに可愛いのになんで一家にひとつ!ではないのだろうか。
そんなことを考えていると
ガラッ
「えっ!?」
後ろで襖を開けて、小さな黒目をより小さくしてこっちを見ている、チョロ松くんが
いた。