第6章 柱たちとお泊まり会✔
「こ、これはその…っ」
はだけた掛襟をきつく手繰り寄せながら、慌てて弁解をする。
あらぬ誤解をされるのは蛍にとっても願い下げだ。
「体が、濡れてしまったからで…!」
「体が濡れた?…へぇ〜…お盛んなことだな」
「(何が!?)誤解だから…っ井戸に落ちたところを、義勇、さんに…っ」
「義勇さん? 蛍ちゃんいつからそんな親しい呼び方始めたの!? 素敵ね!」
「(だから何が!?)ご、誤解、だって…っこれは、その…っ」
「…彩千代少女…」
「!」
静かに目を向けてくる杏寿郎からは、いつもの凛とした空気を感じない。
青褪め頸を横に振り続ける蛍に、下がり眉になりながら杏寿郎は力無く告げた。
「そういうことは、正式に相手とそういう間柄になってからの方が…」
「ちっ…違うぅぅうう!!!!」
雀のさえずりしか聞こえないはずの静かな明朝。
しかし炎柱邸の庭中には、蛍の悲痛な叫びが響き渡ったという。
「つーか正式にって。何処の親父だよお前は…古風過ぎんだろ」
「あら。煉獄さんらしいじゃありませんか」
「私は両想いならいいんじゃないかと思うの…勿論、きちんと愛の告白は欲しいけれど。きゃっ♡ 言っちゃった♡」
(…甘露寺には愛の言葉が必須か…憶えておこう)