第4章 ジコトオオナキ
中一の夏、それは突然として
私の前で起きた。
八月十日、私は彼と二人で楽器の手入れをしていた。
「ねぇ、テナーサックスってどうやって吹くの?」
「サックスとあんまり変わらないと思う。」
「サックスの吹き方知らない。」
「自分で調べろ。」
今日はいつもより暑く、彼はいつもより何故か
イライラしていた。
「そろそろ帰ろうか。」
「うん、コンビニでアイス買うっ!」
「太るぞ。」
「もう太ってるからいいの。」
そう、何気ない会話をしながら
帰っていた。
「信号アオだ。」
私は普通に横断歩道を渡り始めた。
「早く来たら?」
「うん・・・。」
ブーッ
信号はまだ青なのに、トラックのようなものが
私の目の前まで来ていた。
「ルナっ?!」
何だろうこの状況は
私は道路の端に倒れていて、目の前には
彼の血で塗りつぶされていく紅い
横断歩道が・・・・・あった。
「・・・っ?!」
私は涙が枯れるぐらい地面の彼の血を
泣いて洗い落とした。