第2章 クラリネット
「ねぇ、ルナ。」
「何?」
「その横に置いてある黒い袋って何なの?」
「別にたいしたモノじゃないよ。」
「え~ウソ、だっていつも大事そうに持ち歩いてるじゃ
ん。」
「何だっていいでしょ。」
「でも気になるよ、ルナ部活にも入ってないのに。」
「何でもないって言ってるじゃんっ!」
「・・・ごめん。」
「・・・・・クラリネットだよ。」
「クラリネット?」
「そう、彼氏からもらった。」
「えっ?!ルナって彼氏いたの?」
「うん、今は入院してるんだけどね。」
「入院って病気なの?」
「事故。半年前からずっと衰弱状態なんだ。」
「・・・半年も。」
「だから、このクラリネットを持ってると彼がまた
起きてくれるような気がするんだ。」
「ルナ、それなのに私・・・。」
「知らなかったんだからいいよ。それに私も
怒り過ぎちゃったし。」
本当に、怒り過ぎちゃった。
彼はたぶん
もう起きないのに。