第8章 ブカツニニュウブ
彼が死んでから一か月、
私は部活に入った。
もちろん吹奏楽
「稲葉さん?」
「何ですか、若井さん?」
「ここの上がり下がりが難しくて・・・。」
「ここですか・・・。」
そんなに難しくないと思うんだけどな。
「すごいね、一瞬で吹いちゃった。」
「・・・いえ。」
何でいちいち話しかけてくるんだろう。
あんなの先生に聞けばいいのに。
「ねぇねぇ、稲葉さん。」
「何ですか?」
本当にしつこいな
「暇だからおしゃべりしよ。」
「いま、そういう気分じゃないので。」
「稲葉さんいつもそう言ってどっかいくじゃん。」
「じゃあ今日もどっか行きます。」
「あ、待ってよ!」
私はまだ、いつかこの人が自分の大切な
人になることをしらなっかた。