第6章 みんなとお出かけ。
最初の合宿が終わった後すぐに終業式があり、私達は夏休みに入る。夏休みに入れば、バレー部は1週間の長期合宿だ。
今日は終業式。
終業式が終わったあとはすぐに部活…と行きたいところだけど部活開始まで少しだけ時間がある。
ああ、体育館の床が冷たくて気持ちいい。
『ねえクロ。次の合宿ってどこで?』
「次?森然。」
『森然って何県?』
「埼玉…虫すごいから対策しないとまずいよ…」
けんまは私にそう言いながら壁に寄りかかってゲームをしている。
『私、刺されやすいんだよね…やだなぁ…』
「刺されても俺が吸い取ってあげます!」
私に太ももを提供してくれているリエーフ。
制服姿の私のスカートがめくれないようにリエーフはジャージを貸してくれたけどその優しさもマイナスになる発言をぶっ込んできた。
『リエーフ、それセクハラ。』
ここ最近私は放課後バレー部に入り浸っている。期間限定とはいえマネージャーやるんだから仕事は完璧にしたい。だからと言って手は抜かず差し入れも健在。だけど、放課後はマネージャー業に専念したいため、家で作って学校に持って行ったり朝早めに学校に行って下ごしらえをしたりするようにはなった。
「そういやあこれ預かった。」
クロが差し出す袋をの転んだまま受け取り覗いた私の息が一瞬止まった。
『これ…いいの?』
「監督がいいって言ってんだからいーんじゃねーか?」
惚けている私の横からリエーフが袋を覗き込み叫ぶ。
「あーー!それ、バレー部のジャージじゃないっすか!」
そう。渡されたのはみんなとお揃いの真っ赤なジャージ。嬉しさで口元が緩む。
「最近頑張ってるから猫又監督からご褒美だとよ。」
ニヤリと笑うクロ。それを見ながらけんまはゲームをやめ、私にぽそりと呟く。
「美優のジャージ姿…みたい。」
「俺もみたいっす!」とリエーフ。
「つーか体育館に制服で来るんじゃねーよ。パンツ見えんぞ。」
そうクロが言うから体を起こしながら少しだけ反論。
『リエーフがジャージ貸してくれてるもん。つか見たら金とるから。』
「つか前にもこのやりとりやったな。」
『リエーフ、ジャージと太ももありがと。じゃあ早速着替えてくる。』
そういい私は、壁に寄せていた自分のカバンと貰ったばかりのジャージを手に取り、女子更衣室に向かった。