第49章 さくら、ひらひら。
『ねえ、リエーフ。しあわせってどういうことを言うのかな。』
カレイの煮付けを箸で掴みながら呟く。
リエーフを見ればお稲荷さんをほおばっている。
「んくっ…」
『ゆっくりでいいから。お吸い物飲んで?』
リエーフにお吸い物を進めながらゆっくり話し出す。
『高校に入学した頃、私、1人になったの。
父も母も家には帰ってこなくなったし、私に色々教えてくれていたお手伝いさんは私の中学卒業と同時に契約解除。
周りに頼れる人もいなかったし、頼ろうともしていなかった。
私、不安を必死に押し殺してた。
だから、笑えなかったんだろうね。』
1度話を区切る。
『それが私の”ふしあわせ”。
でも、高校に入っていろんな人に会って、我儘聞いてもらっていっぱい料理を作って…
すごく楽しかった。』
静かに私の話を聞いていたリエーフが、みゆさん、と私を呼んだ。
「俺、難しいことは言えないです。
でも、俺が幸せだって思うのは、
おなかがいっぱいになったとき、
あったかいお風呂に浸かったとき、
ふかふかのお布団にぼふってなったとき。」
そう、にこにこ顔でリエーフは話した。