第45章 ばれんたいんでぃ
”ごみ捨て場の戦い”から約1ヶ月。
私達3年生は自由登校になった。
春高後、ヒーヒー言いながら勉強していたクロも第一希望の大学の合格点を余裕で超え、見事大学側から合格を頂いた。
他のメンバーも自分のやりたいことを学べる大学や会社に就職が決まった。
次の登校日には調理室を借り切ってパーティをすることが決まっている。
その時の料理は全面的に私が任されている。
何を作ろうかな。
そう考えていると、スマホに着信が入った。
『もしもし。千景?どうしたの?』
電話の主は千景。
いや、電話の向こうがざわついているから何人かと一緒にいるんだろう。
「あ、美優、今大丈夫?」
『大丈夫だよー。どうしたの?』
「ちょっとさー、お願いがあるんだけど、今から家行っても大丈夫?はひふコンビも一緒なんだけど…」
『別にいいよ?まってるねー?』
電話を切り、数十分するとインターフォン。
鍵を開ければ買い物袋を下げた千景とはひふコンビ。
リビングに通せば、はひふコンビの1人、ひとみが私に声をかける。
「ねえ、お願いがあるんだけどさ。」
『ん?なに?』
「バレンタインのチョコの作り方教えて‼︎」
他のメンバーを見ればこくこくと首を縦にふる。
『あー…私は大丈夫。なんだけど…』
「ん?なんか歯切れ悪くない?」
『いやね?千景…何人かからこんなのがきてるんだよね。』
メッセージアプリを開いてみせると千景は乾いた笑いをうかべた。
「わー、美優人気…」
メッセージアプリには沢山の人…合計30人近い人が「おかし作りを教えて欲しい」とメッセージを送ってきていたのだ。
『これさ、調理室借りてまとめてやったほうが早くない?』
「いえてる。」
『じゃあマサちゃんに電話する。』
私はそのままスマホを操作すると電話をかけ調理室を借りる許可を取った。
『じゃあ11日、1時からでどう?』
「午前中ダメなの?」
そう聞いてくるふみかに私は苦笑い。
『午前中はバレー部のお昼ご飯作らなきゃだから…』
それを言うと千景はまたか…と呆れ顔。
連絡をくれたみんなにその旨を連絡すればほとんどのメンバーがOKとのことだったのでその日に決行することになった。