第44章 春の高校バレー。
1月5日から9日。
まるまる5日間かけて、東京体育館で行われる全日本バレーボール高等学校選手権大会。
通称、春高バレー。
全国から52校の中の東京枠3つの中の1つに滑り込んだ私達音駒も出場する。
あとは、東京枠で梟谷、宮城枠で烏野も出場する。
だからこそ、みんなで先に会場を見ておきたかった。
春高では敵になってしまうみんなで。
「……さん、美優さん!」
瞑っていた目を開けると私を見つめるエメラルドグリーン。
心配そうな顔をして私を覗きこんでいた。
『どうしたの?リエーフ。』
「つきますよ?千駄ヶ谷。もしかして具合悪い?」
『ううん。考え事してただけ。』
そう。
今日から始まる春高について考えていただけ。
駅に電車が滑り込み、扉が開く。
『いこ?リエーフ。』
私は電車を降りると、リエーフと一緒に東京体育館への道を歩き出した。