第43章 寝坊と、コーヒーと、それから。
結局2人して寝坊して、起きたのはお昼近く。
冷蔵庫に残っていたもので簡単なご飯を作り、昨日の残りのバウムクーヘンを食べた後、食材を買いに近所のスーパーにお出かけ。
スーパーから帰ったあと、お弁当用のおかずの仕込みをした後、夕飯を作り、食べる。
ご飯を食べているときにふと、リエーフが呟いた。
「次の試合って、美優さんもコートに入るんですよね?」
次の試合…春高は来週に迫っていた。
今回は、無理を言ってコートにマネージャーとして入らせてもらうことが決定してる。
だから、昨日まで会っていたみんながコートで再会することになる。
『そうだよ?どうしたの?リエーフ。』
ちょっと不機嫌そうな顔のリエーフ。
むーっと唸ったあと、ぽそりとリエーフが呟いた。
「勝ち進んだら美優さん、テレビ映っちゃいますよね…」
へ…?
テレビ?
「会場でナンパとか…」
ナンパ…?
「心配…」
ぶううと頬を膨らませながら私を見るリエーフ。
そんなリエーフが可愛くて私は立ち上がるとリエーフの背中側に回って、ぎゅっと抱きついた。
『何があっても私はリエーフしか目に入らないよ?それに、心配なのは私の方。』
「なんでですか?」
『マネージャーより、選手のほうが目立つんだからね?
それにリエーフ、身長高いし、ハーフだし格好良いから目立つし…
私の方が心配。』
くすり、と笑うと私は言葉を続ける。
『大丈夫。よそ見なんてしないから。』
そっと耳に吹き込めば、リエーフは急に表情を変えてにやりと笑う。
「じゃあ、印、つけちゃいますね?」
リエーフは私の方を振り向くと着ていたワンピースの胸元を寛げると唇を近づけぢうっと吸い付く。
ちりり、とかすかに痛みが灯る。
リップ音とともにリエーフが離れれば真っ赤な真っ赤な痕。
それをもう一度舐めとるようにぺろりと舐めると上目遣いでリエーフは私の方を見た。
「好きですよ?美優さん。」
『私も好き。』
また、Hな雰囲気にのめり込みそうになったので、ほっぺをぐいっと引っ張って私とリエーフの距離を離す。
『昨日いっぱいしたんだからおしまい。』
「えー…」
不貞腐れるリエーフの側を離れ、自分の席に戻ると、私はリエーフに言った。
『春高終わったら…ね?』
その言葉を聞くと、リエーフはにこり、笑った。