第43章 寝坊と、コーヒーと、それから。
先ほどまで私に体を預けていたはずのリエーフは、いつのまにか私を移動させ、膝の上に乗せられている。
さりげなく大きく切った方のバウムクーヘンを渡して、あーんと口を開けながら待つリエーフが餌を待つ雛鳥のようで可愛い。
バウムクーヘンを一口切り分けリエーフの口元に運べばリエーフはぱくりと食いついた。
「んまい!」
そう笑うリエーフが可愛くて頬に口付けると、リエーフは飲んでいたカフェオレをテーブルに置き、私の唇に優しく触れる。
「どうしたんですか?」
『たまには私からもいいでしょう?』
照れ隠しにコーヒーを口に含むと手から私のマグカップを奪われ顎をすくわれる。
「美優さん可愛いすぎ。我慢できない。」
熱を含んだような瞳で見つめられ、私もくすりと笑った。
『いいよ。しよ?』
リエーフの首に腕を巻きつけると触れる唇。
薄く唇を開けば舌が入り込む。
久しぶりの深いキスを堪能していると、すぐに舌が引く。
『リエーフ?』
名前を呼ぶと、ふわりと浮く体。
「続きはベッドで?」
そう言いながらリエーフはちゅっと音を立て頬に吸い付く。
優しく触れる唇が嬉しくてこくり、私はうなづいた。