第42章 ねんまつねんし。〜初詣とその後。〜
「美優さん、持ちますよ?」
『大丈夫。』
私の手には先ほど明光さんに買ってもらった食パン、それより前に買ったメープルのバウムクーヘン、そしてリエーフにお稲荷さん専門店で買ったおっきなお稲荷さんが10個。
それらが入った袋を持ち、私は駅の通路を歩いていた。
重くはないけど、かさばる。
ガサガサ袋を鳴らしながら歩いているとヒョイっと横から袋を取られる。
『えっ!ちょっとリエーフ?』
「俺に持たせてください。」
にかり、と笑ったリエーフにどきり、胸が震えた。
最近、やけに男らしくなったなって思う。
今朝の食器のことだったり、今の荷物のことだったり。
なんでもないようにスマートに先回りしてくれるのが嬉しいし、その度、私の心臓はどきどきする。
まるでリエーフに好きを伝えるかのように。
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蛍と明光さんは、新幹線の時間少し前にホームに向かっていった。
改札を抜ける前に明光さんが言った「またね?」の言葉が少し引っかかったけれど…
その後はなぜかこのメンバーでカラオケに行き、しこたま歌った後、しゃぶしゃぶ専門店でしゃぶしゃぶを食べ、現地解散となった。