第42章 ねんまつねんし。〜初詣とその後。〜
『登り…ますか…』
目の前には先の見えない石段。
私達は代々木にある八幡宮に電車できていた。
「うぇーい!競争しようぜ!」
「みんなお前みたいにパワー底なしじゃねえよ、木兎。」
「無理…」
「俺もゆっくりいきます。」
『うずうずするんだったらリエーフも行ってきていいよ?』
「いいんすか?じゃあ財布とスマホ、おねがいしてもいいですか?」
そう言い、リエーフは財布とスマホを手渡してきたから私のカバンにそれらをしまう。
「じゃあ、木兎とリエーフ行ってこいよ。」
『いってらっしゃい。』
そう、私が言うと2人はクラウチングポーズを取る。
「よーい…ドン。」
赤葦がスタートの合図をすれば2人は勢いよく走り出す。
どんどん遠ざかる2人を見つめていれば、隣の蛍がため息をつく。
「僕達も行きましょうか…」
「そうだね。」
残った私達はゆっくり1段ずつ階段を登り始めた。
ーーーーーー
「疲れた…」
「つかれましたね…」
「だな。」
『……』
結局、体力のない私は途中からヘロヘロにへばり、蛍と赤葦に手を、クロに背中を押されてやっとの事で登った。
『みんな…ごめん…』
「おつかれー!」
遠くから木兎の声。
そちらを見れば、紙コップを両手に持ってこちらに来る木兎とリエーフ。
「甘酒配ってたからもらってきましたー。」
そう言い、蛍と私に甘酒を渡したリエーフはにかりと笑う。
「俺、ギリギリの差で勝ちました!」
「うるせー!階段1段分だ!」
『まあまあ…』
とりあえず境内まで続くお参りの列にみんなを促し、ちょっと休憩。
リエーフにもらった甘酒を一口口に含めばほこりと体が温まった。